事業規模を教えてください。
現在はハウス27棟、地元雇用の従業員11人で小松菜、水菜、ナス、流行のパクチーなどを全て有機JAS規格に基づき育てています。中でも糖度が高く、エグみが少ない小松菜が自慢です。
今は量販店等への出荷が中心ですが、スムージー用として都内のレストランやバーなどへの出荷も計画中です。「有機農産物を適正価格で安定供給」を第一に生産しています。

「土づくり」へのこだわりを教えてください。
就農は2015年1月ですが、最初に借りた土地が元陸田であったため、水はけが悪く、肥料バランスも崩れた野菜の作りづらい土地でした。
そこで、プラソイラー(土壌構造改善農機)で耕盤を破砕し、微生物豊富な堆肥や土壌分析に基づく施肥など3つの改善を行い、2年がかりで野菜作りに適した土壌へ改良しました。また、野菜のミネラルとアミノ酸含有量を充実させるため、魚粉や牡蠣殻、海藻等厳選した肥料を使っています。
病害虫防除についてもお話すると、有機栽培では化学農薬を全く使わないため、最初はとても苦労しました。1年目はボロボロでお叱りの言葉を受けることも多かったです。幸いなことに、つくばという土地柄、身近な存在の研究者や専門家の助言を受けながら総合的に病虫害を防ぐ体系を確立中です。
一つ例を上げると、天敵を利用した害虫防除の技術ですね。
当農場の特徴をもう一つ言うと、年間作付け回数を増やすため、育苗した苗を定植する方法で小松菜を作っている点です。年10作はいけますよ。

独自の経営理論

経歴が面白いですね。
農業をしようと決めたのは19歳の時。幼い頃から受験戦争の真っただ中で小学生の時には満員電車に乗って塾に通っていました。今思えば、きっと自然が恋しかったんでしょう(笑)
就農までの経緯を簡単にお話します。まず大学で農業経営学を学んだ後、大手外食チェーンに就職し農業部門の立上げをすることになりました。その時に機械の扱い方や土づくりなど農業生産に必要なノウハウを学び、茨城の農業者とも知り合いました。その後、金融業界に転職し、融資業務を通じて、金融や経営管理の知識を少し身に着けました。そして独立の自信がついた2015年に就農しました。
つくばで農業を始めた理由ですか?畑からちょっと車で走ったら最先端の研究機関があるところでしょうね。非常に将来性がある土地柄だと思います。

従業員への接し方や教育方法を教えてください。
仕事はとにかく早く終わらせるための工夫が大事。私も含め、従業員同士が効率の良い仕事の方法を見つけて共有し、教え合う職場が理想ですね。経営者自ら率先して大変な仕事に関わり、挑戦し続けることも大事。そうそう、私の経営方針や仕事の方法に対し従業員が文句や助言を言える環境をつくることが最も大事ですね。そういう意味で経営者と従業員は対等ですよ。
繰り返しになりますが、当農場は「有機農産物を適正価格で安定供給する」ことを第一に考えています。
難しいことですが、技術と経営のコミュニケーションをキッチリととることで、できないこともないと思います。そして、しっかりと稼いだ利益を、従業員に還元したいです。
お金が全てではないけれども、農業で給与をしっかり出せたら従業員の満足度も高くなるし、働きたい人も増えるでしょう。従業員の満足度が高い会社こそ、良い会社だと思います。

伏田さんの野菜が食べたくなりました!
ぜひ一度、農場に足を運んでください。その場で栄養たっぷりの小松菜をかじっていただければ。今後は量り売りも考えているんです。スーパーの袋詰めより、よっぽど良いと思いませんか?